相手の選択肢を増やそう
美しすぎるおじいさんはこう言いました。
するとそこへ
とてもかわいらしいゲオルグが現れました。
するとそこへ素敵なおじいさんが現れたら
それはとても素敵なことですね。
『じゃんけん』を御存じでしょうか。
有名なゲームで、くり出せる手が3種類あります。
1対1で行われる場合
3種類の内のいずれか1つが正解となり
その手を出せば勝利できるというルールですが
どれが正解かは相手の手によって変わります。
互いに相手の手を事前に知ることは出来ず
勝敗は基本的に運で決まります。
そしてもし
相手の手を見てから自身の手を決めることが可能なら
正解以外の手を出す意味はありませんから
選択肢は3つから1つになります。
「あとだしできる=有利=自身の選択肢が減る」といった感じになっているわけです。
囲碁でいえば
相手につながれるに決まっているアタリやノゾキ(いわゆる命令手)が大概悪手になるのは
じゃんけんを先に出すのと同じことで
相手の選択肢が誰がどこからどうみてもひとつしかないという事態が
まずいわけです。
考えるべきことは「いかに相手に先に出してもらうか」。
囲碁における具体的な例を見ていきまーす。
白全体を取るためには▲の黒石を助け出す必要があります。
パッと目に付くのはa~dの辺りですが、
黒aには白b、黒bには白a、黒cには白a、黒dには白cが
ピッタリの応手となり
黒石を助けることが出来ません。
すなわち黒a~dでは相手の選択肢を増やすことが出来ていません。
相手の出方をうかがう正解の手は↓こちら↓。
黒1とはまたなんと奥ゆかしい。
続いて相手が白dとくれば黒aで救出できるほか、
白aには黒bや黒cではなく黒d、
白bには黒aではなく黒c、
白cには黒dではなく黒b、
相手の手段に応じて後から手を出すことが可能になるわけです。
詰め碁や手筋にはこのような感じのものが多く
あとだしこそ上達のカギといえます。
ところが、うわ手相手に打つときなどに
相手が何をやってくるかわからない状態が恐ろしいのか
ひたすら命令手ばかり打つ方がいます。
先にじゃんけんの3つの手のうちのひとつを出しておけば
相手が必ず予想通りに来るから
それはもう安心この上ございませんと。
何者かに圧力をかけられながら生活しているような、
圧力がなくなってしまったらどうすればいいかわからなくて困るんですよ
命令しなさいって命令されて命令して。
そんな生真面目さもまた人間らしいというか。
そんなところです。