囲碁と数学

 

いや‥‥あの、その、なんというか、

とてもとても数学なんて語るようなあれじゃないんですが‥‥。

 

迷ったらやる。それが私のルール。

 

囲碁では、

クリエイティブな『布石』、

華々しい『中盤戦』が終わると

『ヨセ』という、

非常に小難しい数字のやり取りをしなければならないという

きびしい時間が待ち構えています。

 

まあきびしいというのはボクみたいなね、

 

数字アレルギーというか、

 

お勉強できないというか、

 

クラスでいちばんわすれんぼのあんたとまでは言われないにしても、

 

あのほら、「不審者は見つけしだい通報します!」なんて看板を見ると

反射的に隠れちゃったりして。

 

 

‥‥そんなこといったってしょうがないじゃないか!

 

好きな発明家はエジソンと平賀源内だってあれほど‥‥!

 

 

あれほど‥‥。

 

 

いやはや大変な時代になったものですね。

 

さて。

 

要は、数学好きの方には非常に興味深い分野なのでは?と思うわけなんですね。

 

一手の価値を細かく考えるのは大概ヨセに入ってからの仕事なのですが、

数字を割り出す際には、

『出入り計算』なるものと 『見合い計算』なるもの、

このどちらかを使います。

 

大ざっぱに説明すれば、

『見合い計算』は、「打った場合と打たなかった場合の差」

『出入り計算』は、「自分が打った場合と相手が打った場合の差」、

を用いることになります。

 

たとえばこのような図

黒からAのところへ打つ手、白からAのところへ打つ手は

それぞれ何目の手でしょうか。

 

黒からAのところへ打てば「黒地1目」(Aの右のマスが黒地)

 

白からAのところへ打てば「黒地0目」 ですから、

 

出入り計算では「1目」と「0目」の比較で

ともに1目のヨセとなります。

 

見合い計算だと、「打たなかった場合」に関しては

黒から打った場合と白から打った場合の中間を取って

「黒地半目」 と考えればOKで、

「半目」と「1目」の比較、「半目」と「0目」の比較で、

ともに半目のヨセとなります。

 

このように、同じ手でも

見合い計算では出入り計算の半分の値になることがわかりますね。  

 

さて、それをふまえたうえで問題です。受験生必見。

 

通常の対局では、

先手の黒は、先に打てる代わりに

あらかじめ6目半のハンデを負うことになっています。

最終的に黒地が白地より7目以上多ければ黒の勝ち、

6目以下の差なら白の勝ち、

ということなのですが、

このルールによって黒白が互角になっているとすれば、

初手の価値は、出入り計算で何目に相当すると考えられるでしょうか?

 

では解いていきたいと思います。  

 

黒が初手を打たずにパスをする(先に打つ権利を白へ渡す)とします。

その場合、払うはずの6目半を逆にもらうことになれば

最初の白の立場と同じになります。  

つまり、黒がパスをした場合、

「マイナス6目半」が「プラス6目半」になれば互角になるので

「パス=13目損」となります。

 

すなわち初手の価値は「13目」。

 

「ファイナルアンサー?」

 

「ファイナル‥‥待てよ!?」

 

問題文をよく見てみると“出入り計算で”とあります。

 

この「13目」は、

「打った場合と打たなかった場合の差」なので、

見合い計算なのです。

 

見合い計算の値は出入り計算の値の半分ですから、

問題の答えは「13目×2」で「26目」となります。

 

正解できましたでしょうか。

 

この26目という数字を知らなくてもどうということは無いのですが、

序盤の普通の手はだいたい初手と同程度の価値ですから、

手を選ぶ際に26目をひとつの目安にして考えることができます。

 

たとえば、

序盤で隅の石を生きるべきか迷ったときなど、

「生きる手は地だけなら14目だな、モロモロふくめても20目程度の価値といったところか。

あっちの大場は普通の手だから26目の価値。よし、ここは生きずに大場を打とう」

といったふうに手を決めるケースもあったりするわけですね。

 

そんなわけで、

数学好きにも超オススメのゲームです。

 

ちなみに私は

囲碁をやっているうちに

ちょっとだけ

数学に対して興味を持ちました。

 

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